淫らな月
私は話しだした・・理解してくれるかは疑問だけど・・
「私は狼族の族長の娘・・狼族は満月の夜・・
理性を抑えられないようになる・・欲望を・・特に性欲・・
それは女も・・初潮を迎えた女はそうなる・・
お前は能力があるから特にだろう・・そう兄は私に言って
初潮を迎えた私を餌場に連れて行った・・
餌場・・それは昔は狼族のためのものだったけど・・
今は男と女がただセックスがしたいために集まるところ・・
満月の夜こんなふうに誰ともわからない男に抱かれたいのかと・・
お前に愛し愛される相手が見つかるまで俺がお前の相手をしてやると言った・・
兄を拒絶することなんて出来ない・・
次期族長の彼に逆らうことなんて出来ない」
「それって近親相姦じゃ・・」
美桜ちゃんが言ってから口を押さえる・・
「そう・・でも私たち狼族では近親相姦は禁じてない・・
狭い社会だから・・ただ子供をつくるのは禁止している・・
血が濃くなるから・・それすらもけもののような気がして耐えられない
初めては好きな人としたい・・でも私には好きな人も好きになってくれる人もいない・・悲しくて母の眠る墓地で泣いていた・・そこであなたを見たの・・」
涙が流れる・・
「一目で好きになった・・黒い髪・・青い眼・・
綺麗で・・私はこんなに醜いのに色が違うとこんなに綺麗なのか・・
と思うと・・触りたい髪に・・そう思った・・
睡眠薬で眠らせて気づかれないようにすれば
出来るんじゃないかと思ってしまった・・
私は兄からあなたを汚した罰を受けているんだと思ってる」
「お兄さんのこと好きなの?」美桜ちゃんが私に聞く
「まさか、兄と私は半分血が繋がっている異母兄妹・・
兄が私を抱くのも憐れみ・・
誰にも相手にされないだろうと・・
私は兄が恐いの・・恐くて逆らえない・・
あの冷たい眼で見られると・・」
「梅香ちゃん・・その・・断れないの?」
私は首を振る
「私は満月の夜は体が熱くなる・・
兄が言った通りに・・
餌場に行って知らない人となんて嫌だ・・
あんなふうになりたくない」


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