淫らな月
今まで黙っていた大地くんが彼に聞いた・・
「狼族は確かにそういうことはある・・
でもそれは男だけだし男にしたって
そんなに我慢できないようにはならないと思う
女性が特に彼女のような
性的にあまり積極的でない女性がそんなになるのは・・普通はないんだけど」
彼は顎に手を置く・・
「媚薬・・媚薬は考えられないか」
大地くんが彼に言った・・
「そうだな・・それかもしれない・・
大地いいところに気がついた・・
だてに肉食女の相手はしてなかったな」
「まあな…
使われそうになったこともあるから・・」
美桜ちゃんが媚薬って何?
大地くんに聞いている・・
大地くんは慌てて
「過去のことだから・・美桜、気にしないで」
大ちゃん?って…
また美桜ちゃんが泣きそうになっている
彼が呆れたようにため息をついて
「まあ・・大地のことはどうでもいいんだ・・
満月の夜だけ
何か飲まされたり塗られたりしてない・・」
満月の夜だけ?
「う~ん、満月の夜だけお兄さんと一緒に食事するんだ、遅れると怒られる・・
ジュースのような甘い飲み物を栄養剤と言われて飲まされているけど・・」
「それだな・・」
大地くんと顔を見合わせてうなづいている・・
「ところで君とお兄さんは異母兄妹って言ってたけど、お兄さんって誠一さんのことだよね
彼のお父さんは高山博士だよね」
「えっ・・お兄さんは一人しかいないけど・・
お兄さんのお父さんも父のはずだけど・・」
どうしてそんなこと・・それより
「父と兄を知ってるの?」
「ああ・・お会いしたことがなるよ・・
そんなことより誠一さんから狼族の匂いがしなかったんだけど・・
君はそう思わない?」
「そういえば・・前は匂ってたけど今は匂わない・・どうしてだろう?」



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