淫らな月
「お兄さんは体調不良とかある?」
「ううん・・体調が悪いのは父だよ・・
このところ床に伏せってるから」
大地くんが
「体調とか匂いに関係するのか?」
彼は
「ああ・・狼族の匂いはフェロモンの匂いでもあるんだ・・個人の匂いと合わさって個人の独特な匂いになる・・体調が悪いとその匂いも弱くなる・・」
そして私を見て
「高山博士とお兄さんの匂いはどう違った?」
お父さんとお兄さんの匂い?
まさか・・
「同じ・・微妙に違うけど・・」
彼はうなづいて
「僕の仮説は多分合ってると思う・・彼は狼族の血を引いてない」
「兄妹じゃないってこと?」私は声を荒げた・・
彼はうなづいて私の顔をまっすぐ真剣な眼で見る
「そういうことになるね・・君は嬉しい?」
私はうなづいてうつむいた
「兄妹であんなことするより他人の方がいいけど、兄がどうしてあんなこと私にするのかわからない・・でもされたことは変わらない」
「考えられる一番単純な理由は
君のことが好きだから
次はセックスがしたいから
3番目は君を手に入れて名実ともに狼族の族長になること・・4番目は恨みかな」
「恨み?お兄さんのお母さんが死んですぐ私のお母さんが後妻にきたことかな」
「う~ん・・もっとほかにあると思うけど
本人に聞いてみないとわからないなあ」
えっ・・
「本人に聞くの?」
彼はまた眉間に皺を寄せて
「当たり前でしょ・・
君はひどいことをされてるんだよ
理由を知りたくないの?
それともこのまま騙されたフリして
やられてるつもり」
私は泣きながら首を振る
「そんなつもりはない・・」
「だったら明日にでも乗り込むからね・・」
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