淫らな月
「あなたも一緒に行くの?」
どうして?
「当たり前でしょ・・少なからず僕も関係してるんだよ・・
君のせいで僕の童貞体験は中途半端のままなんだから・・」
どうせならとブツブツ言っている
「さあ行くよ」と私の手を取る
「えっ・・どこへ?」
また眉間に皺を寄せて
「大地・・けもの部屋借りていい?
続きするよ・・」
大地くんがエッて顔をしたけど
「ああ・・いいよ」と言った・・
「続きって?」
彼は呆れて
「君は途中でやめたんだよ・・
最後までやるのが僕に対する礼儀でしょうが
それとも大地のことが好きになった?」
私は強引に引っ張ってる手を振り払った・・そして椅子に座り直した
「大地くんのこと…
どうして私が好きになるの?」
「だって、さっきからうっとりして
見てるじゃないか・・」
私がうっとりして見ていた?
美桜ちゃんが心配そうに見ている
「あ~・・美桜ちゃんと大地くん二人を見ていたんだよ・・
私ね・・羨ましいんだ・・二人が・・
仲がいい二人を見るのが私の楽しみなんだ」
「楽しみって?」
「うん・・私にはないことだと思って・・」
「俺からも聞いていい?君が美桜を助けたのは偶然じゃないね」
大地くんが私に聞く・・私はうなづいて
「うん・・高校入学してから雨の日だけ電車で行っていたんだ・・
雨の日の楽しみだったよ・・
あの日ひとりでいる美桜ちゃんを
あいつら狙ってたから
心配であとをつけていたんだ・・
美桜ちゃん・・
美桜ちゃんは綺麗だから注意しないと・・」
「もしかしてあの女をタレこんだのも君?」
彼が聞く・・
「タレこんだ?そう・・大地くんの美桜ちゃんを思う気持ちを利用して自分の欲を満たそうとするなんて許せない・・
弱みを握ってやろうと思ってつけてたら薬のことを知ったんだ・・」
「あの女は今どうしているか知ってるの?」
彼が聞く
「あの女って麗華先輩のこと?」
美桜ちゃんが聞く
私はうなづいて
「今、鑑別所に入っている・・もうすぐ出てくると思うけど
あの女は狐族なんだ…逮捕されて一族に迷惑をかけたから制裁を受けると思う」
「可愛そう・・」美桜ちゃんが言う
「美桜ちゃん・・自業自得・・同情なんて絶対したらダメ・・
大地くんにあの女はひどいことをしたんだ・・
男の子でも辛いことだよ・・大地くんのように純粋な子は・・
それにあの女にはちょうどいい罰かもしれない・・
大体風俗で働かされるみたいだから・・薬からも抜けれないだろうし・・
大地くんだってもう少し一緒だと薬やらされてたかもしれない
良かったよ・・つかまって・・」






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