淫らな月
玄関を開けて「ただいま」と声を出した
パタパタ小夜さんが玄関に出てきた・・
私の姿と彼を見て驚いている・・
そう私はかつらをしていない・・
眼はカラコンをしてるが
彼に君の眼は美しいけど保身のためにも
サングラスかメガネをしたほうがいい
君の眼は日光に弱いよと言われたから
小夜さんはにっこり笑って
「どうぞ・・和室にみなさんお待ちかねよ」
と言われた・・
帰ってくるのが分かっていたの?
和室には猫の青が真正面の真ん中に
そのすぐ横にお父さんが・・
お兄さんがお父さんから下がった横に
この中で青が一番偉いということか・・
私はお兄さんを盗み見た・・憮然としている
私の方を見て目を見開いて目をそらされた・・
そして彼を見て・・睨んだ・・恐い・・
彼はというと平気な顔でお兄さんを見ている
そしてお父さんに
「今日は突然お邪魔してすみません」と言った
お父さんは彼を見て
「セイトくん久しぶりだね・・
立派な青年になったね」
「ありがとうございます・・
博士はお体がお悪いと聞きましたが・・」
お父さんは優しく笑って
「長年の不摂生がたたってしまったよ」
お父さんの笑った顔・・久しぶり・・
私はお父さんに避けられているから・・
彼が青を見て・・
「青・・久しぶり・・生きてたのか・
・会えてよかったよ」
と言った
青は「みゃ~」と鳴いた
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