淫らな月
「今日は僕が十八歳になったら
梅香さんと結婚することを
お許しいただきたいと思ってお邪魔しました」
彼は真っ直ぐお父さんを見て…
「出来れば梅香さんは留学という形で
このままアメリカに連れていきたいと
思ってます。」
彼は頭を下げて「どうかお許し下さい。」
と言った…私も頭を下げる…
お父さんは少し驚いたがすぐ笑って…
「梅香はそれでいいのか?」
「はい…セイトさんと離れたくありません」
「青様・・青様のおっしゃってた通りになりました・・」
青は偉そうにうなずく・・
あまりにも偉そうなので
猫のくせにと思ってしまう・・
生類憐みの令の時の犬もこんな感じ?
っと思ったけど
もしかして青が関係してたりして・・
なんて思ってると・・
お兄さんが突然…
「そんなの…認められない…
まだ働いてもないのに…
梅香…血迷うな…
お前は彼の外見に騙されてんだ…
目を覚ませ…」
つかつかと歩いて来て私の手を引っ張る・・
「やめて・・お兄さん・・」
「誠一さんお止めください・・
僕はあなたにお伺いしたいことがあります・・
あなたは梅香さんにどうしてあんなことをしているのですか?」
お兄さんは怪訝な顔をして
「あんなことって?」と彼に言う
「僕が知らないから梅香さんと結婚を言い出してると思ってますか?
全てを話してもらい・・
僕たちは仮説を立てました・・
それが正しいなら
あなたはなぜそんな事をするのか
理由を聞きに来ました」
「理由?」
まだとぼけるつもりなのかお兄さんは・・
「はい・・僕たちはあなたが満月の夜・・
梅香を騙して媚薬を飲ませていると思ってます
満月の夜は男を欲しがるようになるという
あなたの言葉を信じて餌場へ行くくらいならと
梅香はあなたに抱かれてます・・
どうしてそんなことをするんですか?」
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