淫らな月
「青様・・申し訳ありません・・
とんだところをお見せして
これも全て私が悪いせいなのです・・
誠一すまないお前にはもっと早くに
話さなければいけなかった・・
全てを話そう。
それでお前が納得するかはわからない
救われるかどうかも分からない
お父さんはふ~っと軽く息を吐きだしてから
ゆっくり話だした・・
私は狼族の族長の息子として生まれた・・
それは血を絶やさないようにすることも
義務だった
しかし私は研究しか興味がなかった・・
抱いてくれという女は何人もいたから
女を抱きたくなる満月の夜は
その中の一人を選べばよかった
20代後半になっても決まった相手もいない
私に縁談話が舞い込んだ・・
族長の家同士の結婚
狐族の族長の娘との、
そう誠一の母親とのだ・・
後で知ったことだが
狐族は恋人と別れさせるために
結婚させたらしい
私は結婚すれば狐族から結婚祝いとして
莫大な研究費用をもらえると
いうことだけで結婚を承諾した
愛なんてなかった初めから・・
ただ子孫を作るという役目が私にはあった
満月の夜だけ彼女の家を訪れ関係を持った
一ヶ月に一日だけの関係
・・当然子供はすぐには出来なかった
2つの族からは早くと急かされたが
私にはどうでもいいことだったが
彼女は思いつめてしまった・・
別れたはずの恋人とまた関係をもちだした
そしてお前を妊娠した・・
私との子供か彼との子供かわからないというのが本当のところだ
検査すればわかるんだろうが・・
一族には面目もあるし何より子供が欲しかった
男の子だったことも
真実をうやむやにしてしまった・・
私にはそれすらもどうでもいいことだった
私はそんな冷たい男だった・・
彼女に会うまでは
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