淫らな月
今まで横で黙っていた美桜ちゃんが
「梅香ちゃんの気持ちは分かるよ・・
セイくんが好きすぎて素敵に見えるんだよね
私だって大ちゃんには私なんかより
もっとふさわしい子はいくらでもいると思う
でも大ちゃんが私のこと好きって
言ってくれる限りほかの誰にも渡したくない
・・今はそう思ってる」
「・・俺は美桜と離れたとき・・
美桜と添島は付き合ってると思っていたんだ
添島は言ったよ
僕には忘れられない子がいるその子が
運命の子だと思う・・
他の子は考えられないってね
君のことだよ・・
添島は何年も君を探してたんだよ
やっと見つけて幸せだったのに
君は自分勝手に思い込んで不幸にするの?」
と大地くん・・
「梅香・・お前のその自信のなさは俺のせいだ・・
彼とお前は本当にお似合いだよ・・
お前は本当に綺麗で頭がいい・・性格もいい
お互いにそれ以上の相手はいないよ・・
好き同士なのにためらうことが何があるんだ・・
変な遠慮はみんなを不幸にするんだよ・・
梅香…素直になりなさい・・
過去失敗した俺からの忠告だよ」
「お兄さん・・」
お兄さんは携帯を見て・・
「大地くん・・美桜ちゃん・・
小夜がケーキを焼いたからお茶をしようって・・
君たちふたりはもう少し話してから
帰ってくるんだね・・
迎えがいるならまた連絡して」
私たちを残してみんなは駐車場の方に歩いて行った
下を向いて片膝で座っている彼に声を掛ける
「セイ・・ごめんなさい・・もう立って」
立ったセイは泣いていた・・
「どうして?涙なんて・・」
「あんな好きでもない女たちと話してたせいで君の気持ちが覚めてしまったなんて・・
なんて馬鹿だったんだと思って・・
梅香・・僕が好きになったのは君だけだよ
僕には君しかいない・・
僕のこと嫌いにならないで」

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