××さないで

師匠side



 火薬の匂いと、鉄のような匂い。

 それらは、私の仕事には付き物だった。

「さすが師匠!百発百中ですね」

 ……この大袈裟に騒ぐ声も、最近ではお決まりになっている。

「……騒ぐな。帰るぞ」

「あ、腕とかもいできてもいいですか?脂のノリ具合が絶妙っぽいんで」

「今回は一般人だ。足が付く」

「俺が欲しいのは腕なんですけどね。足じゃなく」

「撃つぞ」

「すみません」

 そいつの腕に銃口を向けて言うと、肩をすくめて謝った。素直に従うくらいなら、始めから口答えしなければいいと思うのだが。

「帰るぞ」

「はーい。……あー、美味しそうだったんですけどねぇ」

「…………夕飯は何が良い?」

「さっきの死体のーー」

「却下」

 即答で返すと、しゅんと肩を落とした。相変わらず全身で感情表現するオーバーなヤツだ。そのクセ腹の底が見えない、厄介だ。

「えと、それじゃあ……クリームコロッケが食べたいです!」

 なぜ人肉の代わりがクリームコロッケなのか。
 まぁ、作れるから問題はないが。

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