ある冬の日



「梨華千尋おはよー」



「おはよ~」「おはよ」



あたしたち3年生の教室は4階にある。



そこに着くまでの間、階段や廊下ですれ違うほとんどの同級生があたしたちに気がつくとあいさつしてくれる。



あたしは元バレー部キャプテンでクラスでも学級委員やってるし、親友の梨華はムードメーカーだから顔が広い。



学年のみんなとはそれなりに良い距離感を保ててる。



少なくともあたしは地味じゃないしクラスにもちゃんと馴染めてる。



卒業まであと少し、ずっとこの位置にあたしは居る。



ううん、居続けてやるんだから。



地味なグループの子たちとは絶対仲良くならない、てかまずあたしからは話しかけないし。



そうじゃなきゃ、今までの中西千尋が全部水の泡になっちゃうもん。



「ねぇ千尋は今年のバレンタイン本命チョコ渡す人いないの~?」



梨華が聞いてきた。



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