ある冬の日
「あのさ、もうすぐ卒業じゃん」
「そうだな」
あー何言ってんだろうち。
「あー、やっぱ何でもない」
うちがそう言うと、少し間をあけてさとちゃんが椅子を動かす手を止め意外な事を言った。
「うん。まあ、あれだな、萌乃、まずは自分からクラスのやつらを受け入れてみたらどうだ?」
「え?」
さとちゃんの言ったことが図星すぎてうちも椅子を動かす手を止めた。
「あいつらに受け入れてもらいたいなら、まずは萌乃の方からみんなを受け入れる事が第一歩だな」
うちが黙ったままでいるとさとちゃんはまた椅子を並べ始めて突っ立ったままのうちに話しかける。
「まあ良くも悪くも人は何かきっかけがないと変わらないからな。今度さ、クラスでお菓子パーティーやる予定なんだ。また梨華が考えたらしくて」
呆れたような感じで笑ったさとちゃん、こうして見るとやっぱり漫画に出てきそうなキャラクターっぽい。
「へー」
「まだ決定ってわけじゃないんだけどな、でもまあ多分やるから萌乃もそのカバンに入ってるお菓子クラスのみんなに分けてやったらどうだ」
「うわ知ってたのかよ」
まさかこのことさとちゃんが知ってたとは。別に隠してたわけじゃないけど、なんか引くよねー。