ある冬の日
そんなこんなで動揺しながらも流れに身を任せていたら、気づいた時にはうちもみんなと同じ空間にいた。
でも、でもでもでも、窮屈。
自分の両サイドにあまり深い関係ではない人間がいるって。しかも前後にも斜めにも。つまり360度人に囲まれてる、今、うち、それもけっこうな距離感で。
かなりの居心地の悪さ、なにこれ。
どうせ座るなら端の席がいいんですけどー。
どこかもっと良い席が無いかとうちは辺りをキョロキョロ見渡した。
んーと、あ、あった!
あそこの席だったらなんとか大丈夫そう。
移動しよ。
そう決心してうちは今座ってる自分の席を立った。
あの空いてる席まで移動する。
うちが自分の席を立ったとき、近くにいる女子たちの視線を感じた。
その中にはうちをこの空間に連れて来てくれたあの梨華って子の視線もある。
萌乃ちゃんどうしたんだろって目だ。
でも今はそれを声に出して伝えてはくれない。この子とはまだそういう距離感じゃないから。まあ当然なんだけど。
目的の席に向かって歩き出す。
「ったく男子!さっさと座れ。ただ席に着くだけなのに何分掛かっとるんだ全く」
学年主任がもたもたして落ち着きがない男子たちに言った。
ドンマイ男子。