ある冬の日



学年主任の号令で卒練が始まった。



と思ったら、そのノリで練習はじめる前にまずは学年主任が長々と話始めた。



てかいつまで喋る気だよマジ。



ここはお前の講演会か。



はあー、つまんねー。



あれ、さとちゃんが居ない。



長々としゃべり続ける学年主任について行けなくなり辺りを見渡したうちは、さっきまでここに居たさとちゃんの姿が体育館から消えていることに気がつく。



あれ、やっぱりいない。どこ行っちゃったんだろさとちゃん。



うちは不安になった。



担任って意外に大切な存在なんだ、生徒にとって。



あーもう、さとちゃん早く帰って来て。



うち、さっきさとちゃんがまずは自分からみんなを受け入れたらいいって言ってた時、なにかに気づいた。



ほんとは自分でもその事を実感してた。



なのにずっと気づかないふりをしてた。



卒業まであと1ヶ月きって、今まで気づかないふりをして目を背け続けてた自分にようやく気づいたんだ。



だから、後悔した。



すごく、後悔した。



< 106 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop