ある冬の日



卒業式練習のときは毎回体育館に行くまでの道のりをクラスごとに男女別の名簿順に並んで歩く。



このときは移動教室のときと違ってクラスごとにまとまって体育館まで移動するから、なんか嬉しくて安心感がある。



いつも移動教室になると私は1人で行動してるから。



男女共に列の先頭には学級委員さんがいてクラスのみんなに指示を出していた。



私は名簿順だと後ろだから、自分のクラスの女子の列の1番後ろの位置で黙って列が出発するの待っている。



ふと自分のクラスの列の先頭を見ると、学級委員の中西さんは女子の名簿順で1番目の岡田さんと喋ってた。



他の女の子たちも、



「ねぇこれおかしくない?大丈夫?」「ごめんソックタッチ貸して~」「廊下超寒いんですけどー」



クラスの女の子たちは廊下を出発する直前まで手鏡を見ながら髪型や制服のリボンの大きさや形を整えたり、スカートの長さを校則通りに戻したりリップクリームを塗り直したりと、終始身だしなみを気にしてたり友達同士で会話してる。



私はその間、ただずっと列の1番後ろでじっとしてるだけ。



……どうしたらみんなみたいに、みんなと同じになれるんだろう。



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