ある冬の日
そして目の前には式本番さながらに3年生が座る場所にだけパイプ椅子がキレイに人数分並べてあった。
へぇー。今回の卒業式練習から椅子も出して本番と同じ感じで本格的にやるんだあ。
と、たくさん並べてあるパイプ椅子を見て私は思った。
「1組から真ん中の通路でわかれて右側が男子左が女子でそれぞれ中央から名簿順で座れ~」
学年主任の先生がざわつくみんなに男らしい低い声でそう言って、前の方でいろいろ指示を出している。
「じゃあたしたちも座ろう」
学級委員の中西さんがクラスの女の子たちにそう言った。
「こっから順番に座ってって。あ、あたしが入る場所は空けといてねー」
中西さんはほんとに学級委員さんに向いていると思う。
今だってみんなスムーズに自分の席に着けたし、男子の方はまだてこずってるみたいで落ち着きがない。
あ、でも見渡してみると女子は6クラスともみんな椅子に座ってた。
いくつかの組の男子たちはまだ自分の席に座れてない。
ふふっ
男の子たちって、小学校のときからいつもあんな風だよね。
中3にもなって、そういうところは全然変わってないな。