ある冬の日



「ったく男子!さっさと座れ。ただ席に着くだけなのに何分掛かっとるんだ全く」



学年主任の先生は男子側の方に移動して激をとばしながらも呆れたようにそう言った。



「女子はもう座っとるぞ」



そしてその位置から私たち女子の方をちらっと見てぼそっと呟いた。



こういうときは、女子でよかったと心から思う。



というか男子の中でもきちっとしてる人はいるのにいつも“男子”ってだけでひとまとめにされちゃって、怒られるなんてなんだかかわいそう。



ま、これが連帯責任ってやつなんだろうけど。



学年主任の先生の言葉を受けて、まだもたつく男子たちのクラスの担任の先生たちはさっきよりもさらに慌てながら自分のクラスの生徒に席順の指示を出している。



私のクラスの島野先生もその1人。



……ドンマイです、島野先生。



そして私はそんな様子を横目で見ながら自分の席の左隣の空席を気にした。



この空席は同じクラスの山田さんが座る席だから。



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