ある冬の日
ときどきね、ほんとにときどき。
わたしなんでこんな事にいちいち一生懸命になってるんだろうって思う。
5時間目の卒練が終わって教室に戻っている最中、スカートのポケットからケータイを取り出した。ケータイは常に持ち歩いてる、だってなんかあった時困るでしょ。
胸ポケットだとすぐバレるからこういう時とか移動教室のときはスカートのポケットにこっそり入れてるんだ。
クラスごとに男女一列に並んで廊下を歩いていると、みんなが幼く見える。
だってわたしにはヒロがいるもん。
ヒロとはケータイの中で出会った。ケータイの中で出会って顔も本名も知らないけど、ヒロは素敵な男の人。ほんとに男の人なのかもわからないけど。
でもヒロとわたしはメル友、みたいな関係で、最近は毎日メールのやりとりをしてる。
ポケットから取り出したケータイを見ると、またヒロからメールが届いてた。
『これから部活。そっちは?』
ケータイの画面をみて思わずにやけてしまう。