ある冬の日



「あ、うん」



「これさ、菊地に誕生日プレゼントでもらったんだ」



優也くんが言った菊地とは、たぶん3組の菊地さんのことだと思う、優也くんに片思いしてることで有名な。



誕生日に優也くんがやってる部活のストラップあげるとか、それ普通彼女がやることでしょ。



優也くんに彼女がいるのか知らないけど、それ1番やっちゃいけないプレゼントだって、菊地さん。



ひょっとして恋は盲目ってやつ?



「へえ」



「でも女子ってほんとストラップとかキーホルダー好きだよな」



もしかして優也くんはわたしとの会話をしっかり成立させようとしてくれているのかな。



でもわたし、現実の世界よりケータイの中の世界の方が好き。



「あ、えーと、高橋ハンド部だったんだよな」



「うん、弱かったけど」



ケータイに視線を戻して答えた。



ヒロへの返信どうしよう。



未だに文面が思い付かない。



「お前高校でもハンド続けんの?」



は?なに言ってんの優也くん。続けるわけないじゃんこんな下手なのにわたし、ハンド。



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