ある冬の日



「ううん。高校行ったらハンドはやらない」



「ふーん。それ(ストラップ)つけてたからよっぽど好きなんだと思って」



「え?」



「いや、ハンド」



え、ハンドボール部だったわたしが引退したあともこのストラップ身につけてるだけでそう見えるものなの?



ていうか優也くんだって引退したあともそのサッカーのストラップスクバにつけたままじゃん。



「優也くんの方こそまだつけてるじゃんそれ」



わたしはケータイから視線を外して優也くんの方を見た。



「あーこれな。せっかくもらった物だからさ、とりあえず卒業まではこのままにしとこうと思って」



「へえ」



そんな事したら余計勘違いしちゃうって菊地さん。



やっぱりモテる男子のやさしさって少しズルいよね。何やっても良く見えちゃうもん。



「あ、ねえ優也くんは高校行ってもサッカー続けるの?」



優也くん進路スポーツ推薦で決まったって聞いたことがある。



だからたぶん続けるはずだけど、何となく会話の流れで聞いてみた。



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