ある冬の日



「どうだろ。確かにオレサッカー好きだし得意だからな、自分で言うのもあれだけど」



優也くんがはにかむように笑った。



つられてわたしも笑った。



「でもオレ高校行ったら音楽やりたいんだ」



「音楽?」



「おう、バンドとか組んでギターとか何でもいいから弾いてさ。で、バイトして自分だけの楽器買うんだ。それってなんかカッコいいしモテそうじゃん?」



変なの。なんで男子ってみんな同じようなことしか考えないんだろう。



わたしの兄も高校入ったときそう決心したらしいけど、結局難しいとか全然モテなかったとかでせっかくバイトして買ったギターなのに、今は自分の部屋の飾りになってる。



まあ優也くんはそんな事にはならないと思うけど、てかもう既にモテモテだけど、それを聞いてちょっと優也くんが楽器弾いてるところ見てみたいと思った。



きっとかっこよすぎて女子たちの黄色い声援が飛び交ってるんじゃない?



優也くんのかっこ良さは本当にズルくて憎い。



そんな完璧な優也くんに欠点ってあるのかな。



でもまあたぶん優也くんの短所って、きっとわたしが優也くんを見たときの長所なんだと思う。



いま優也くんと話してたら、ふとそう思った。



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