ある冬の日



「まだ話し合い終わってないから先帰ってろ」



梨華が今日俺と一緒に帰りたいと言った理由はだいたい予想できる。



梨華は今日俺がこの話し合いがあるから一緒に帰れない事をわかっているのに、こうやってわざわざ生徒会室まで来て俺と一緒に帰りたいと言いにきた。



「やだ、だって千尋今日用事があって一緒に帰れないんだもん。1人で帰るの寂しい」



やっぱり。



なんか都合のいい彼氏になってるな、俺。




「だったらウチも話し合い混ぜて~!」



少し強引だったが梨華はそう言うと生徒会室に入ってきて話し合いの輪の中に入ってきた。



どうやら後輩たちもそれを受け入れてくれてるみたいだ。



まあ後輩たちからしてみればこんな俺らも一応先輩になってしまうから、当たり前の事なのかもしれないけど。



突然やってきた梨華の長所は明るい性格だからなのか、梨華はすぐ場に溶け込んだ。



そして梨華が何気にちょっといいアイディアだしたり場を盛り上げるもんだから、なんかここが一気に男子禁制の空間になった感じがして、ここにいる数少ない俺たち男子は肩身が狭くなってしまった。



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