ある冬の日
どんなに頑張って勉強したって、ウチみたいな奴はやっぱり頭が悪いままなんだ。
みんなが受験モードになるずっと前からちゃんと授業受けてまじめに先生の話聞いてたのに。
三者面談で進路についてさとちゃんから「このままでは公立は難しい」と言われて、自分でも薄々気づいてたけど、でもやっぱり悔しかった。
私立なんて、お金さえ払えば入学できちゃうんでしょ?
……ウチも第一志望公立のみんなみたいに挑戦したかった。
今は2時間目の音楽の授業中。
合唱コンクールも終わって、音楽の授業の意味すらなくなってきた今日はミュージカルのDVD鑑賞。
音楽室でみんなそれぞれ自分の席に座ってただじっとスクリーンに映る映像を眺めてる。
あ~つまんない。
でも変な記号や楽器の名前覚えたり、1人ずつ黒板の前に立っての歌のテストよりかはマシだな、うん。
でもさ、ちょっと静かすぎない?
席がわりと後ろのウチは辺りを見渡した。