ある冬の日
教室に着いて入り口をウチらの前を歩いてた男子たちが開けて、ウチらもそのあとに続いた。
「うわッ!寒っ」
そっか忘れてた。音楽室に行く前ストーブ切られてたんだった。
いつも移動教室のときは必ずストーブ切られるんだよね。
今も教室に帰ってきて当番の人がストーブの電源入れてくれたみたいなんだけど、教室ってそんなすぐ暖かくなるもんじゃないもんね。
なんか、さっき千尋がくれた手のひらサイズの小さなカイロの暖かさだけが肌に染みる。
「あ、ねぇねぇ3時間目国語でしょ?だから授業始まる前にさとちゃんに『思い出会』のこと話して、お願い!」
何かしゃべってないと寒さが増す気がしてウチは千尋に話しかけた。
「ああ『お菓子パーティー』の事ね。了解」
「違うってば、『思い出会』だって!」
「はいはい、わかったわかった」
そう言って千尋は自分の席に向かって行った。
そしてウチも自分の席に着いて次の授業の準備をした。