ある冬の日
そんな女子トイレの中って、学校の中のどんな場所よりも地獄だ、うん、マジで。
「あ、紗奈ちゃん」
トイレが空くのを待ってた間、紗奈ちゃんがトイレの個室から出てくるのがわかった。
ウチが紗奈ちゃんの名前を呼んだ瞬間、なんとなくそこにいた同級生たち全員からの視線を感じた。
うわ、宮本さんに話しかけてるよ。梨華、やめときなって。
という視線と、なんとなくそれを面白がってる視線、それから紗奈ちゃんと同じ雰囲気の子からの視線。
女子トイレはもちろん4組以外の人たちも使うわけで、このとき女子トイレに居たのは他クラスの人がほとんどだった。
女子トイレの中は相変わらずうるさすぎるくらい騒がしい。
みんなそれぞれの会話を楽しんでる。
だけどそれぞれの会話を楽しみながらも視界の片隅には紗奈ちゃんとウチが入ってる。
そんな気がした。