ある冬の日



手袋を着けたままだと塗りにくいから寒いけど右手の手袋だけ外して塗った。



今日は新しく買ってもらったストロベリーの香りがするリップクリーム。



つけると結構しっかりと香りが広がって来て、なんだかお腹が空いてきちゃう。



って、さっき朝ごはん食べたばっかりだけど。



「千尋おはよ~!先に行って自転車置いて来る~!」



校門が見えたとき、朝なのに元気な梨華があたしの横を自転車で通り過ぎた。



「了解ー」



梨華は中2のときからの親友。



中学最後の年も同じクラスになれてよかったって思ってる。



やっぱりなんだかんだ言って中学を卒業するときは最後の3年生の時のクラスが一番思い出に残るから。



しばらくすると校門に入る直前の梨華が担任のさとちゃんに注意されてるのが見えた。



自転車通学者の梨華がヘルメットを被っていなかったからだ。



会話は聞こえないけど雰囲気がそうだと言ってる。



梨華ドンマイ。



さとちゃんと梨華の様子を見ながら心の中で呟いた。



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