ある冬の日



それから何度も母に説得されて私は渋々引っ越しすることを受け入れた。



というかそうするしかなかった。



母との会話に疲れ、私は自分の部屋に戻る。



真夏はもう通り過ぎて行ったというのに、まだ残る残暑せいで窓全開にした部屋の中には秋とは思えない空気が漂っていた。



「これじゃ夏と変わんないじゃん!」



積もり積もったモヤモヤを、なんでもない季節のせいにしてみる。



「もうッ!」



小さな勉強机に向かっておもいきり両手を付く。



「あーッ、もう知らない!」



勉強机の向かいにあるベッドに倒れ込みながら、今度は枕をグーで撲った。



枕ってふわふわしてて柔らかいのに、撲り続けると手が痛くなってくる。



「はあー疲れた」



一体私は何をしたいんだろう?



体勢をあお向けにして真っ白な天井を見た。



そのときやっと、私は今自分が泣いていることに気がついた。



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