ある冬の日
この学校に転校して1週間もしないうちに私は学校を休んだ。
熱が出たという仮病を使って。
次の日も、次の週も、ずっと休み続けた。
熱が出たという仮病の他にもいろんな理由の仮病を使った。
頭が痛い。
お腹が痛い。
吐き気がする。
でも今はもうそんないろんな仮病の理由を考えなくたって学校を休めちゃうの。
休むことが当たり前になったから。
学校に行かないことが当たり前になったから。
お母もお父もそんな私に何も言ってこない。
私が学校に行ってない間も給食費とかそういうの全部払ってくれてるのに。
……ごめんね。お父さん、お母さん。
今の引っ越し先の私の部屋は、前の部屋より少し狭い。
でも私にはこれくらいの広さがちょうどいいのかも。
小さな勉強机に置いてある時計を見ると、時刻はお昼過ぎだった。
勉強していた手をとめると私は大きく伸びをする。