ある冬の日
平日はお父もお母も仕事で家を空けてるから、今この家には私だけしかいない。
こういう日は少し気が楽になる。
私はお母が作っておいてくれた昼食を食べようとキッチンへ向かう。
でもその前に部屋の換気をしておこうと思った私は、自分の部屋の窓際に向かった。
そして窓を開けたとき、
「あ、」
私の目に映ったのは、遠くの空高くを飛んでいる飛行機。
そういえばりかちゃんが言ってたな。
『ひこうき雲を見たら幸せになれる』って。
不意にあの時見たひこうき雲を思い出した。
「私も幸せになれるかな」
開けた窓からは静かにひんやりとした冷たい空気が入ってきて、なんだか別世界に続く扉を開いてしまったかのような、そんな不思議な感覚に陥る。
どこまでも続く高い空に向かって深く息を吸い込むと、ほのかに冬のにおいがした。