ある冬の日



ま、いいや。このまま出掛けちゃお。



ってほんとはそれってただの言い訳なのかもっていつも思う。



ほんとは学校行きたいんじゃないの?



と、自分の中にいるもう1人のうちが今鏡の前で突っ立てるうち自身に問いかけてる気がする。



うち中学卒業後は通信制の高校に行くことにしたんだ。



進路について学校でもいろんな話聞かされたけど、正直うち高校なんて行く気まったくなかったし、だからって中学卒業後の明確な目標があったわけでもないし、ずっと自分の将来の事なんて真剣に考えてなかったんだよね。



それは今でも続いてるんだけど。



だからある時、んー、確か秋と冬の季節の変わり目ぐらいだったかな、ママに「うち高校行かないから」って言ったんだ。ほんとに軽い気持ちで。



でもそしたらママ泣きながら「お願いだから高校だけは行って」ってうちに言うの。



ついでに「お金はなんとかするから」とか言うんだもん。



結局“金”かよ。



ま、そうだよね。今や愛も夢も希望さえもお金で買えちゃう時代になっちゃったもんね。



< 83 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop