ある冬の日
今の自分の感情が、苦しいのか悲しいのかツラいのか切ないのか、それとももっと違うものなのか、自分でもよくわからなかった。
やっと到着したショッピングセンターでは、買い物する気もゲーセンで遊ぶ気も友達呼んでたむろする気も最初から全くなくて……。
自転車を置いてショッピングセンターの入り口に向かう。
うちはただ、いろんな現実からにげてるだけ、あれもこれも、全部。
そんな事、うち自身が1番よくわかってる。
店内に入り辺りを見渡すと、店内は主婦の方やその付き添いで付いてきた小さな子どもが目立つ。うちみたいな制服姿の学生なんて1人も見当たらない。まあ今日平日だしね、当たり前か。
ショッピングセンターの中は暖房が効きすぎていて、しばらく店内を物色してたら暑苦しくなってきたのでとりあえず手袋とマフラーを外してそれをスクバの中に入れた。
スクバに手袋マフラーを入れた後、うちはそこからケータイとイヤホンを取り出す。
ムダに混み合う店内のざわざわとした雑音と定期的に流れるお店の放送や陽気な音楽を、自分の世界から消すために。
歩きながらイヤホンをケータイに取り付けそのままイヤホンを耳に当てる。
そしてそこからケータイを操作してうちの好きなロックな音楽を大音量で流した。
その瞬間、うちの世界はやっと輝いた。