ある冬の日



たぶんさっきさとちゃんが他の生徒もそうだったのに梨華にヘルメット着用を指導したのは、梨華がさとちゃんのクラスの生徒だからだと思う。



担任を持ってる先生たちはみんな自分のクラスの生徒のことを1番に気にかけてると思うから。



「ありがと千尋、マジ助かった~。でもさとちゃんよっぽど体型気にしてるみたいだね」



自転車置き場まで行く途中、自転車を押しながら梨華が言った。



「だね」



「で、さっき言ってた食事制限一切なしのダイエットってなに?ウチにも教えて~!」



「あ、あれ嘘。作り話」



「なんだ~。ま、だと思ったけど」



自転車置き場に着いて梨華が自転車を置いてからは2人で教室まで一緒に歩く。



みんな部活を引退して登校時間が同じになったから、下駄箱に着くと3年生の場所だけが無駄に混んでた。



下駄箱と下駄箱の間を通る幅がこんなに狭く感じるのは、正直下校時だけで充分なんだけど。



「おはよう千尋ちゃん梨華ちゃん」



「おはよ」「おはよ~」



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