ある冬の日



楽しそうにサッカーしてる優也たちを横目にうちは誰もいない下駄箱で上履きに履き替えた。



今日は5時間授業だから、今からの5時間目が終わると学校も終わりか。



正直わざわざ来る意味なかったかも。



『3年生に連絡します。昼休み後、5時間目の授業は体育館で卒業式練習を行います。え~、ですので遅れないよう集合してください』




下駄箱で上履きに履き替えてたとき、校内放送からうちら3年生の学年主任の声が聞こえてきた。



まじ!?卒練とかあんのかよ。



てか卒練って必要なくない? 練習なんてしたら式当日の感動が半減しちゃう気がするんだけど。



「卒練、か」



なんとなく、うちの足は教室とは反対方向の、校舎から少し離れた場所にある体育館へと向いていた。



中身なんて(ぜんぶ校則違反だけど)メイク道具とケータイと財布とお菓子しか入ってないスクバを、リュックのように背中に背負って体育館まで歩く。



廊下のど真ん中じゃなくて、少し右側を歩く。



途中、同級生とはすれ違わなかった。すれ違うのはみんな他学年の子か教師だけ。



3年生の教室は校舎の1番上の階にあるからかな。



みんな今なにしてんだろ。



さっきの優也たちみたいにこんな寒いのに外に出てる人なんて他にいないし、みんな教室でガールズトークかな。



男子は相変わらずバカやってんじゃない?てか男子って本当に全然成長しないよね。きっと精神年齢園児か小学生だと思うよ、マジ。



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