冷たいキミの愛しかた
*篠宮いのり
入学式の空気が
僕は苦手な人間だった。
新しい学校生活に期待し
少し浮き足立った風な、
新しい出会いを求めたり
集団にいち早く馴染む為に
そこら中で飛び交う会話が、
僕は苦手な人間だった。
その空気から逃れたくて、
その場から逃れたくて、
僕は自クラスも確認せずに
まっすぐ屋上へ向かう。
階段をかけ上がって
上へ上へ、
あの空気から離れる為に
上へ上へ。
と、屋上と思われる入り口の
扉は、既に何者かによって
開けられていた。
そして、その開けられた扉の先から……