冷たいキミの愛しかた

こんな感じで、

篠宮は一歩も引かず

微塵も反省しない。

男性教師は篠宮の態度に

更に憤慨し、説教。

以下エンドレスリピート。


二人の様子を見かねた僕は

篠宮の分まで全力で反省し

ぺこぺこと何度も頭を下げ、

なんとかその場はおさまった。


女子の横で教師にぺこぺこと

頭を下げるとは男としては

なんとも情けない姿だが、

あのままではらちがあかなかった。

致し方なかったのだ、

男性教師の威圧感に耐えきれなくなり

腹痛を起こしたわけではない、

断じて。



「なんて情けない姿よ、あれ。

男ならぶん殴って黙らせる

程度の姿勢を見せなさいな

このヘタレ凡人が」


「どんな理不尽だよそれ。

そもそも僕はお前に

巻き込まれた側なんだからな」


「この期に及んで責任転嫁?

生きてる価値もない男ね」



篠宮は僕がいまだかつて

見たこともないような

冷たい視線で僕を刺す。


先ほどの男性教師なんて

比じゃない威圧感だった。



キーンコーンカーンコーン…



「やべ。

ホームルームのチャイムだ」


「無駄な長話のせいで

遅刻じゃない、最悪ね」



非難されながらも懸命に

間違いを指摘し続けたあの

教師のお話は、無駄な長話の

一言によって綺麗さっぱり

片づけられてしまった。

我ながら同情するぜ先生。



「早く教室へ行きましょう」


「あ……」



しまった。

自クラスも確認せずに

屋上へ上がってしまったため

僕は自分が何組か把握していない。



「何よ?」


「あぁ、いや。

自分のクラスがわからない」


「は?」



篠宮は怪訝な顔を

こちらに向ける。


< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop