冷たいキミの愛しかた
言って彼女は制服の
ポケットを探りだした。
「だって………、あぁあったわ」
「?」
何を言いたいのか全く
分からずに、僕は首を傾げる。
「だって、あなたはあたしに
何も聞いてこないもの」
そう言って僕の目の前に
自分の携帯電話をちらつかせる。
……何だろう?
確かにここに来てからは
僕は彼女に対して一切質問は
していないんだけれど。
「アドレス聞いてほしいのか?」
彼女の思考が全くもって
読めない事がもやもやして、
僕はここで初めて彼女に
率直な疑問をぶつけてみた。
「あなたやっぱり
友達が少なそうね」
ふふ。とおしとやかに笑いながら
失礼な感想を述べる。
「どうして友達居ないの?」
「僕は別に友達が居ないとは
一言も言っていないぞ?!」
「あら、意外。
あなたのことだから、
『ごめん、僕は生きている
価値が全く無いどうしようもない
クズだから、君とはお友達には
なれないんだ、ごめん』とか言って
友達申請を拒否すると
予想していたのだけれど」
「僕はそこまで自分を
卑下していない!」
「謙虚じゃないのね」
「何か僕は君に見下されて
蔑まれている気がする」
「"気がする"なんて曖昧な
ものではなく、そうなのよ」
「僕は君が友達居ない理由、
分かったような気がするよ…」
けれどまあ、彼女の何に対しても
素直にものが言える点は、
羨ましいというか、なんというか。