赤い月 参
再び覚悟を決めた景時が、引き結んでいた口を開いた。
「その…
実際はそうじゃないのに、俺とうさぎの関係を勘違いしてるバカがいて。」
「うむ。」
「ソイツが俺とうさぎに会いたいらしくて。」
「むぅ…」
そんな可愛い顔してココア飲まないで。
ここからの地獄が、余計過酷に思えンじゃん。
「断ってたンだケド、今じゃ毎日寺に通って粘り続けてて。
その…
もう逃げらンないかなぁと…」
「ふむ。
どのような勘違いをしておるのじゃ?」
キター… コレ、キター…
だが、もう引き返せない。
景時はゴクリと生唾を飲み込んだ。
「えーっと…
俺が『主人』で、うさちゃんが『使い魔』‥‥‥みたいな?」
部屋の温度が一気に下がる。
今ならきっと、外のほうが暖かいだろう。
うさぎの瞳が冷たく光り、口元が蔑むように歪んだ。