赤い月 参

再び覚悟を決めた景時が、引き結んでいた口を開いた。


「その…
実際はそうじゃないのに、俺とうさぎの関係を勘違いしてるバカがいて。」


「うむ。」


「ソイツが俺とうさぎに会いたいらしくて。」


「むぅ…」


そんな可愛い顔してココア飲まないで。
ここからの地獄が、余計過酷に思えンじゃん。


「断ってたンだケド、今じゃ毎日寺に通って粘り続けてて。
その…
もう逃げらンないかなぁと…」


「ふむ。
どのような勘違いをしておるのじゃ?」


キター… コレ、キター…

だが、もう引き返せない。
景時はゴクリと生唾を飲み込んだ。


「えーっと…
俺が『主人』で、うさちゃんが『使い魔』‥‥‥みたいな?」


部屋の温度が一気に下がる。
今ならきっと、外のほうが暖かいだろう。

うさぎの瞳が冷たく光り、口元が蔑むように歪んだ。

< 10 / 223 >

この作品をシェア

pagetop