赤い月 参

大吾の鋭い眼差しに、薫の全身が強張った。

数秒間、見つめ合う。
男同士でこんなのはゴメンなのに、動けない。

景時はうさぎ奪還に必死で、こちらの様子に気づいてもいないようだ。

‥‥‥どうする?

だが、大吾が視線を逸らした。

腰を手で払いながら、見慣れた意地悪そうな笑みを見せる。


「見た目、虫も殺せなさそーなお姫様なのに、スっゲェ男前女子じゃん。
凛々しいっつーの?
ありゃ、ますます高杉にはもったいねぇわ。」


薫は笑えなかった。

睨みつけるように大吾を見つめた後、はぁ、と溜め息を漏らして彼の背中を強めに叩いた。


「っ!!
小山… 俺、背中…」


「ケガか?
見てやる。脱げ。」


「‥‥‥‥‥襲われる??!!」

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