赤い月 参
カノジョか
部屋のドアの前で、水原が帰りを待っていた。
(カノジョか。)
ツッコみたい気持ちでいっぱいだが、彼の表情があまりにも真剣なので、とりあえずやめておく。
時間的に茶の間から消えた後、そのままここに直行したようだ。
恐らく、大吾と祥子と小鞠がいては出来ない話があるのだろう。
景時と薫の顔が引き締まった。
「今日はありがと。
助かったわ。」
景時が軽く言った。
が、心持ち声が硬い。
「彼らが無事で何よりだ。」
返ってきたのは、さらに硬く思い詰めた声。
景時はさりげなくうさぎを背に隠した。