赤い月 参

だが、うさぎが軽やかに進み出て、二人を手で制した。


「なんじゃ。」


水原の前に立ち、穏やかに彼を見上げる。


「あなたは…彼の使い魔ではないのでしょう?
今日も、好き勝手に動いていた。」


「そうじゃ。
妾の主は、妾のみ。」


「なら、どうしてここにいるんです?
命じられたわけでもないのに、どうしてあの少年らを助けたのです?
オニであるあなたには、どうなろうと関係のない者たちでしょう?」


一瞬目を丸くしたうさぎが、首を傾げて微笑んだ。


「妾が、助けたいと思ったからじゃ。」

< 121 / 223 >

この作品をシェア

pagetop