赤い月 参
だが、うさぎが軽やかに進み出て、二人を手で制した。
「なんじゃ。」
水原の前に立ち、穏やかに彼を見上げる。
「あなたは…彼の使い魔ではないのでしょう?
今日も、好き勝手に動いていた。」
「そうじゃ。
妾の主は、妾のみ。」
「なら、どうしてここにいるんです?
命じられたわけでもないのに、どうしてあの少年らを助けたのです?
オニであるあなたには、どうなろうと関係のない者たちでしょう?」
一瞬目を丸くしたうさぎが、首を傾げて微笑んだ。
「妾が、助けたいと思ったからじゃ。」