赤い月 参

その言葉を聞いた水原の表情が、ますます暗くなる。

少し俯いて眼鏡の位置を指で直すフリをして、うさぎから目を逸らした。


「あなたが人間ではないと、露見する危険を冒してまで?
あなたが助けた者が、あなたを怖れ攻めたてるかもしれない危険を冒してまで?

あの大吾という少年は、あなたが普通ではないと気づいたようですよ。」


「まじで?」


反応したのは景時だ。

慌てて薫を見ると、彼は難しい顔で軽く頷いた。

景時は眉間に皺を寄せ、唇を噛みしめる。


(だからうさちゃんには、後方支援に回ってもらおうと思ったのに…)


勝手に先に行っちゃうから。
てか、西洋魔術で消されちゃうから。

って、あれ?

この魔法使いのせいじゃね?

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