赤い月 参
普段うさぎは変化を用い、鬼気さえコントロールしてヒトとして生活を送っている。
だがそれは、景時との約束だから。
必要とあらば、いつでも誰の前でも、その真の姿を晒すことを厭わない。
むしろ、オニであることを隠す気すらないように思えることもある。
彼女はわかっているのだろうか。
バレてしまったら、この生活を続けることは難しくなる。
彼女はわかっているのだろうか。
バレてしまったら、俺は…
うさぎは…
なのに、うさぎは笑った。
朗らかに。
「ハハ。
当然であろうな。
あれで何もわからねば、救いようのない阿呆じゃ。」