赤い月 参

破れないような結界ではなかったようだが、安易に踏み込むことはできない。

数体のオニが…もしかすると蠱毒効果でチカラを得た、強靭なオニが待っているかも知れないのだ。

周囲へ被害が及ぶのを防ぎ、尚且つ僧の犠牲を出さないよう、今夜、慈龍寺を挙げた狩りが行われるのだ。

もうすぐ秋時が迎えにくる。

使命… 狩り…

景時はうさぎの肩を強く掴み、血走った目で正面から彼女の顔を覗き込んだ。

その迫力に驚いたのか、うさぎが目を丸くして身構える。


「な… なんじゃ?」


「危ないから連れてけないケド、お留守番しててくれるよね?
ドコにも行かないよね?
龍に会えたらサインもらって来るから、待っててくれるよねぇぇぇ?!」

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