赤い月 参

「は…
なんの話を…

龍?」


うさぎがキョトンとした顔で首を傾げた。


「龍とは… あの…龍?」


「あー、ドラゴンって龍なんだよ。
日本的に。」


部屋に入ろうとしていた薫が、こちらを見ることもなくサラリと言った。


「何故それを早く言わぬ。」


うさぎが振り向いて睨むと、薫はドアノブを握ったままのポーズで凍りついた。

やはり鬼神の目からはレーザービームが…


「ゴゴゴメンナサイ。

あれ? 俺が悪いのか?」


「なるほど、懐かしい筈じゃ。
景時、妾もゆこう。」


首を捻る薫を放置して、うさぎは自分の肩を掴む景時を見上げた。


「本人に話を聞くとしよう。」

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