赤い月 参
誰かの悪意を感じるYO!
ガキとは言え、男は男。
いや、見た目ガキなだけで、スゴい年なンだろうケド。
男特有の嗅覚で、すぐに蒼龍は景時を敵と認識したようだ。
薫にはなついたクセに、こちらを見ると舌を出す。
カワイイ。
でも生意気。
拳でこめかみグリグリしたくなる。
今も地面に直に座り込み、切り株に腰を下ろしたうさぎの膝に頭を乗せて、時折優越感丸出しの視線を送ってくる。
その上うさぎが優しく微笑みながら、膝に寄りかかるクソガキの頭を撫でたりした日にゃ、もう、ね。
殴りたい。
なんかカワイイから殴れない。
泣きたい。
うさぎかっ攫って逃げたい。
真っ白な灰になりそうな景時の思いは、千々に乱れた。