赤い月 参

蘇った景時、秋時、薫は、目を丸くしてうさぎの膝に縋りつく蒼龍を見た。

ヤルじゃん、コイツ。
ちゃんと龍神っぽいコトやってンじゃん。


「姫が、ココに作れアソコに作れって、ボクのお尻叩いたからだよぉ。
人間なんて、ほっときゃイイのにー。」


景時、秋時、薫は、溜め息を吐いてうさぎの膝に縋りつく蒼龍から目を逸らした。

ダメじゃん、コイツ。
尊敬の眼差しを返せ。


「で? どうじゃ?
思い出したか?
この地の龍泉は、まだ残っておるのではないか?」


「うー… あーぅー…」


「そなたの泉じゃ。
既に異変を感じておるであろう?」


「あぅぅ… ボクはナニも…」


とうとう顔を背けた蒼龍の頬を、うさぎが両手で優しく…

いや、クキって鳴ったから、優しく見えたダケ?

とにかく頬を両手で包んでこちらを向かせ、金の瞳を覗きこんだ。

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