赤い月 参
「何も? 本当に?
妾に嘘は通じぬぞ。」
優しすぎる声。
優しすぎる微笑み。
なのに… ナンデスカ?
この威圧感。
この迫力。
微笑みの裏に黒いモノが見えるのは、気のせいデスカ?!
蒼龍は頬を白い手で挟まれたまま、ダラダラと汗を流して震え始めた。
元々碧い肌が、さらに色を濃くしたようにも見える。
景時、秋時、薫も、いつの間にか手を取り合い、身を寄せていた。
「ゴゴゴメンナサィィィ…」
耐えきれなくなった蒼龍が、カワイイ顔を歪めてベソをかいた。
恐怖以外の何物でもないうさぎの微笑を、涙目で見上げてしゃくりあげる。
「ぅっぅっ
あるよ、ボクの泉。
なんか、ね、なんか、…
変なモノが混じって、イヤな臭いがしてるぅぅぅ ぅっ」