赤い月 参
二人で微笑みを交わし合う。
あ。
コレ、なんか幸せ。
子供見て笑う、夫婦みたいじゃね?
『オマエのほうが可愛いケド?』とか言っちゃって。
『やだぁ、アナタ』とか言われちゃって…
景時の微笑みが崩れ、涎を垂らしそうなただのアホ面に変わる頃、現実が襲ってきた。
緩んだ腕を脱け出して立ち上がったうさぎが、凜とした声を放つ。
「それも想定の内。
一戦交えるぞ。
蒼、そなたにも一役買って貰おう。」
秋時と薫の顔が引き締まる。
景時も手の甲で口元を拭って、立ち上がった。
「でも、あんなのどうやって…
無茶するとこの島は…」
動揺を隠せない蒼龍がうさぎの袖に縋りついて訴えたが、景時たちをチラリと見た後、急に口を濁した。
どうやら、蠱毒どころの話ではないようだ。