赤い月 参
景時はさっき蒼龍を呼び出した場所に寝転がりながら、チラリとうさぎを見た。
彼女は秋時と薫と共に、地図を見ながら結界を張る範囲を打ち合わせている。
龍泉から産まれ出ようとしている『ナニカ』は、かなりヤバいモノらしい。
だから、その『ナニカ』が誕生する前に奪われた龍泉を力ずくで引き揚げ、『闇』を引っぺがして浄化を行う。
コレがうさぎの作戦。
なんつーか…
乱暴すぎンだろ。
策を練った痕跡さえない、ストレートすぎる作戦じゃね?
空から龍泉を引っ張るのは、もちろん蒼龍。
地上で『闇』を引き、浄化するのはうさぎ。
様々なベクトルに働くチカラが暴走して拡散することのないよう、薫が泉から空へ伸びる結界を張って、天へ還る龍泉の通り道を確保する。
秋時は僧たちを指揮し、国道も通るこの山を完全に封鎖し、尚且つ不測の事態に備えて防波堤の役目も担うような大規模な結界を張る。