赤い月 参

「おまえ、姫が好きなの?」


おっと?
直接対決をお望みデスカ?

ガキ相手でも、うさちゃんだけは譲れん!!


「好きだよ?
おまえより、もっと。」


「…ふぅん…」


ボクのほうが好きだもんっ!とか言って、地団駄踏んで怒ると思ったのに…

蒼龍は笑みを深くした。
だが、金の目は笑っていない。


「わかってるの?
姫は鬼だよ?」


「…」


景時の顔からも、からかうような軽い表情が消えた。

睨みつけるかのような鋭い眼差しで、目の前に立つ龍神を見上げる。


「姫は昔、ある屋敷にいる人間共を皆殺しにしたンだ。
大量の返り血を浴びて白い肌を赤く染めた姫は、どんな神より美しかったそうだよ。
次に姫を美しく飾るのは、おまえの血かもしれないね。」

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