赤い月 参

「じゃあさぁ…」


蒼龍が声を低くし、隣にしゃがみこんできた。

周りには誰もいないのに、内緒話の体勢で耳元に囁く。


「その『理由』っての、知りたくない?
おまえら人間共が、姫に何をしたか。
姫の大事な
ゥゴっっ!!」


大事な… ナニ?

隣に目をやると、前のめりになる蒼龍の頭に白い足が乗っている。


「お喋りが過ぎるぞ、蒼。」


涼しい声に景時が恐る恐る振り返ると、腕を組んだうさぎが…


(‥‥‥助けてー、ママー)


踵落としを炸裂させていた。

怖いから。
その笑顔が怖いから。
ヘタすりゃ、ブラッディうさぎより怖いから。


「ひひ姫、ゴメナサ…」


「そろそろ始めねば、夜明けに間に合わぬ。
秋時と薫を捜してまいれ。」

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